リニューアル記念に執筆したんだよ!
みんな読んでいってねぇー!

田園地帯に位置する小さな町「メルソナ」で起きた出来事だった……
夕暮れも近づく広場は、農作業を終えた人々で賑わっていた。
麦穂が黄金のじゅうたんのように落ちかけていく夕日で眩しく煌めいている。
一日の労働で疲れ切った人々の往来する町の広場。
酒場もあればちょっとした屋台もあるし、農民だけでなく日銭稼ぎでやってくる行商人も行きかっていた。

   ***

「どけッ! 道を開けろぉぉおっ!」

その賑わいの中をかき分けるように、役人の怒声が飛ぶ。
王都からかけ離れた辺境の片田舎ゆえか派遣された役人は一般人に対しては高圧的な態度だ。
剣を腰に帯びた大柄の役人の不遜な立ち振る舞いにまたか……といった顔で呆れて見送る者……
その一方で何かを期待してにんまりと笑う者……
これからされる行為を想像してあからさまに不機嫌な顔をする者……
広場に集まる人々の表情は様々だったが、これから何が行われるのか分かっていた。
この暗黒時代において、牧歌的なメルソナの町だけでなく陰謀渦巻く王都でも広まっているある意味で日常の出来事であった。

役人の手にはロープが握られていてそのロープの先には金髪の少女が縛られていたからだ。
恐怖に顔を真っ青にした少女は両手を厳重に戒められて歩く歩幅が少しでも遅れると役人にロープを引っ張られ転びかける。
何度も町の大勢の好奇の目を浴びたか弱い少女は助けを求めるように顔を振ってもがいた。
そうして手荒に引かれながら向かう先は広場の中央の舞台だ……

舞台といっても「因習」が広まって王が国のすべての町の広場に作らせた、いわば処刑台のような木組の段差だ。
周囲を遮る障害物がないため、広場に集まる全員の目が集まる。

「やめてください! 誤解なんです!」
「うるさい! とっとと歩けぇッ!」
顔立ちの整った美少女の必死の哀願に神経質そうな役人が怒鳴る。
だが神経質な顔がいやらしい笑みに時折変わるのを、誰もが気づいていた。

それはこれから行われる儀式のためだ……

たちまち、舞台を囲むように人垣ができる。
役人数人と連行されてきた少女マリアンナが、段差に設けられた階段をあがり舞台に昇る。
階段で引っ張られたマリアンナは青ざめた顔で木の板張りの床を軋ませながら引き立てられる。

   ***

マリアンナは町外れのパン屋の娘で、町では評判の美少女だった。
流れるような絹糸のごとき金髪、質素だが可憐な少女には似合って見える白いワンピース。
染色された服は高価だったし木綿のただ白い生地だったが、パン屋の看板娘として洗濯はこまめにしているので透き通るように真っ白だ。
それが余計に彼女の清純な姿を引き立てていた。

だが、つぶらな瞳は今は不安げに揺れていて涙がこぼれ夕日で長い金髪は、さながら麦穂のように眩しい。
町の青年たちが憧れる整った美貌と、多くの人が認める優しさを兼ね備えたなんの非もない少女が、町を治める領主の配下の役人に引き立てられている光景は異常だった。
なのに広場に集まった人々は誰もその暴挙を止めようとはしない。
むしろ、最前列に陣取った町の男たちは全員が好色そうな目つきを向けている。
木で組まれた簡素な舞台の固い床に乱暴に押し倒され、マリアンナはロープで縛られて受け身すらとれないままに転がる。
「うっ!」
突き飛ばされたせいで勢いよく床に顔から突っ伏してしまう。
口の中を切ったのだろう。
血の味が広がる……
「何をするんですか! あたしは何もやっていません!」
震える声を押し絞り出して、マリアンナは声を上げた。
その様子を男たちは興奮した面持ちで見つめ、審問官の紋章を下げた神経質そうな役人の一人が進み出た。
「お前を魔女の疑いで取り調べる。悪いが、この場で無実を証明してもらうぞ」
「えっ?」
「無実を証明できないならば、ここにいる者たちに償いをしてもらう」
役人は言うと、取り巻きの役人が待ちかねたように勢いよくマリアンナの身体を床に押さえつける。そういう段取りが決まっていたのだろう。

この時代、風土病や飢饉などが何度も起こり王は危機感を覚えた。
長い歴史の一部分だけの些細な暴風雨だが、人々はそう受け止めない。
信心深い人々を手なずけたのが王の傍で政治に口出ししていた教会の派閥だ。
彼らは魔女の仕業で不可思議な不幸が起こるのだと説いた。
それで先の話……国王は国中の町に舞台を作り教会と関わる審問官を派遣する政治的な決断をした。
疑われた人間は密告などを通じて審問にかけられる。
魔女といっても女だけが選ばれるわけではないが男より比率が多くなりつつあった。それは……審問官たちの大半が好色な男ばかりだったからだろう。
このメルソナの町で目立つぐらいに美しい娘たちはすでに何人も魔女の疑いを一方的にかけられている。
その審問の様子を見た町の男たちにとって……これは文字通りに舞台の上で行われる淫らな演劇だった。

   ***

「いやっ! こんなの横暴です! 王様に直訴の機会を。あたしは魔女なんかじゃありません!」
「横暴だと? 魔女が何をヌかす!」
怒鳴りつけてから審問官のバッジをこれみよがしにマリアンナの目の前にかざして急にフッと笑う。
「お前は洗濯物を白くキレイに洗い上げることができるそうだな……魔女が使う暗黒の魔法を使ったのではないか?」
「ええ?」
「その白いワンピース……もっと薄汚れているのが普通であろう。どう見ても貴族の令嬢ではあるまいし……それだけ白い服を着るのは魔術のせいだという証拠であろう?」
「せっ、洗剤を使っただけです」
「それに柔らかく洗い上げるそうだな。この服の肌触り……魔女の暗黒魔法に違いない」
マリアンナの白い衣服の裾をつまむと審問官はその木綿のふんわりとした仕上がりに目を血走らせた。
「じ、柔軟材を使っただけです。普通に行商人さんに売ってもらえました」
明らかな言いがかりに気弱な彼女もキッと役人を睨みつけた。
スカート部分を審問官がスルスル持ち上げてその裾から覗く透ける肌を見つめていた。
パンを売るときの柔らかい笑顔を見せていた表情が鋭くなっていて、彼女にまた違った魅力的な美しさが浮ぶ。
日頃から温和な彼女の見せるギャップに……怒りに満ちたその表情はどこか大人びていて、それが役人たちの気持ちを昂ぶらせてしまうとは思ってもいない様子だ。

「審問官……ご苦労だったな。黒魔術の証拠、実に論理的でここにいるマリアンナが魔女だと確信たる弁論であった」
役人の隊長格であるカルロスは審問官の役人を押しのけてニヤニヤと笑いながら手を伸ばした。
「きゃあっ!」
怒りの表情を浮かべていたマリアンナは驚きに声を上げた。
カルロスの慇懃無礼な手は彼女の胸の膨らみをブラウスの上から乱暴につかんでいた。ワンピースに包まれたそれなりに大きく膨らんだ乳房。
その形が薄布のワンピースのせいで握りしめられるとくっきりと浮き立った。
「ひぃぃいい。ヤメテください……み、みんな見てるっ!」
舞台を囲む最前列の男たちの鼻息が荒くなる中で、白いワンピースが絞り込まれてむっちりとした肉感を見ている者にまで伝えてしまう。
「魔女め。罪を認めろ。さもなければ死罪もありうるのだ。分かるだろう?」
カルロスはねっとりとした猫なで声をマリアンナの耳元でささやき、さらに手の中で乳房をぐにぐにと捻っていく。

「ううっ……放してください! 痛いぃい。そんな強くっ、握ったらっ……アぁぁああ!」

マリアンナはとりわけ美しい少女だった。
地面に舞う金髪が艶を放ち落ちついた感じの瞳は脅えの色に濡れていた。
もう審問官に見せていた怒りは恐怖に塗り替えられていたし……ワンピースが乱れて白い脚まで見える襲われた彼女を大勢が見守っているのだ。
「いやァアぁぁあああああっ! あ、あの……っ……役人さん、やめさせてください!」
その訴えにむしろ役人たちは興奮した様子で身を乗り出して見つめているばかり。
誰もマリアンナを魔女だと思っているわけではなく……ただ疑いをかけて罪を作り上げ……あとは、彼らの都合のいいように扱うだけ。
この町に住む際立って美しい歌姫のモニカがされた仕打ちはマリアンナもパン屋という接客の仕事で間接的に聞いて知っていた。
モニカは衆人環視のなかできれいな歌声が男を惑わす黒魔術だと疑われ……処女を散らされ……

そんな顛末を聞いていただけにマリアンナの感じている恐怖は想像以上のものだ。
現場を見ていない口伝だったから余計に彼女は恐怖を掻き立てられた。
だがハッキリしたのは男たちの性的な欲情したまなざしと……彼女のワンピースをたくしあげようとするカルロス隊長の手つき。

「なかなかいい大きさだな。これがどんな魔力を秘めているのか?」
カルロスは胸の弾力を味わっているうちに股間が滾るのを感じた。マリアンナが拒絶するのを見るとなおさら興奮してくる。
ズボンの股間の部分がガチガチになるまで膨らみ、さすがに圧迫されて痛いくらいだった。
興奮に後押しされて、カルロスの手に自然に力がこもってしまう。
「きゃあっ! 痛い! 痛いですぅぅ、誰かっ! 助けて! とめてください! あたしは魔女なんかじゃないっ。信じてください!」
広場に響き渡るマリアンナの悲壮な叫び声が石造りの建物に囲まれた広場で反響する。
一段高めになっている舞台のおかげで彼女の悲鳴は広場にいる全員に聞き取れた。
女たちは眉をひそめて隠れるように消えるが、これからのショーを待ちわびた男たちは少しずつ広場に集合していた。

まだ芯の残る乳房を大柄なカルロス隊長の手によって力任せに強く握られると痛む。それはどんな女でも感じる痛みを引き出す握り方だ。
カルロスは痛みに顔をしかめるマリアンナを見ると欲情してしまう。
女を制圧している自分を感じ取れる……町の人々の視線が自分たちを見ていることなどこの欲情の前ではどうでもいいことだった。
「痛いか? だが、魔力でこの危機から逃れてみよ! どうした? 魔女?」
上擦った声でサディスティックに叫んだ。もはや役人の言葉づかいではない。

「へへへへ……」
そんなカルロスの姿を見て周りで大人しくしていた他の役人が下品に笑うと、暴れるマリアンナの身体を押さえつける。
辺境に赴任して戦で功名をたてることもできず娯楽もろくにない小さな町だ。
魔女狩りの風習が広まった今ではこれは女漁りをするチャンスに他ならない。
歯止めの利かない男たちは次々と乳房や股間に手を伸ばし始めた。
洋服の上からとはいえいくつもの手が乱暴に這いまわり蹂躙するのは清廉なマリアンナにとっては不快極まりなかった。

「放してぇぇっ! この変態! 放してよ! こんなことっ……王様の威信に傷がつく行為なのよ!」
「王の威信? むしろ魔女狩りをして我らは王からより信頼されるだけなのだが?」
マリアンナが悲鳴を上げる度に男たちは緩んだ表情で笑いかける。
「ひひひひ、魔女さまの身体は柔らかいですぜ」
「ふん、子供臭いがそれがまたそそる」
「感じてるんだろ? 魔女さんよぉ」
役人たちは職務という体面すら忘れて下品な物言いでマリアンナの身体を撫で回す。
取り繕う真似をしていたのは審問前までだった。
いや、マリアンナのパン屋にドカドカと踏み込んできたときから彼らは興奮していたし、彼女の美貌を目にして絶対に魔女に仕立てると決めていた。
その決意の強さなのだろう。

「みんな、お願い……助けてぇええっ!」

マリアンナはわずかに動く首をひねりながら広場の人々を見つめた。
その光景を町の人々は楽しむものが多いのだが、正義感ある人々はただ唖然とした様子で見ているしかなかった。
ここで、マリアンナを助けようとすれば「魔女の手先」の烙印を押されて男なら即座に処刑されてしまう。そのための帯剣だ。
女たちも押し黙る……女の身で抗議などしたらマリアンナの手先として凌辱されるだけだ。
マリアンナが魔女と認定されれば、待ち受けるのは公衆の面前での公開凌辱…… それがこの時代のこの国で当たり前のように行われている掟だった。

「お願いよぉ……」
役人たちの手で凌辱される身体を揺すりながらも力なく助けを求めるマリアンナ。
そんな彼女を最前列の町人たちはニヤニヤと笑って見ていた。
最前列のかぶりつきの席に集まる男たちの目は役人と変わらなかった。
魔女狩りの審問はいわば建前であり、また王の政敵なら処刑できる大義名分……この町で数少ない娯楽としてうら若き乙女の公開凌辱を見たいだけなのだ。
絶望の表情でマリアンナはそんな町の男たちから目を逸らした。
彼らの目つきですべてを察したから……

視界には再び、自分たちを凌辱しようとしている役人たちのいかつい顔が飛び込んでくる。

「ひっ!」

野獣のように欲望を剥き出しにした男たちの顔。
特に役人たちの隊長の地位のカルロスはマリアンナの美貌にくらくらと血が昇るのを感じていた。
艶のある金髪は沈みかけの夕日の中でもなお眩いままだ。
どこか幼さと愛嬌のある顔立ちの彼女が恐怖にひきつった表情はカルロスの征服欲を高ぶらせていく。
そう……これだけの美貌には滅多にお目にかかれない。
この町でこれだけの美貌に出会ったとき、大勢の人の見ている前で合法的に犯してやろうと思った。
歌姫のモニカの処女を散らし、絶望のどん底に落ちてもカルロスは精液が枯れるまで何度も犯した。
部下にも犯されているモニカは、町一番の歌姫として誰もが憧れる美女でその美声は絶望の歌声に聞こえていた。

そのモニカとマリアンナは重なるぐらいに美しい顔立ちだ。
あの日の滾りをまた呼び起こされたカルロスはマリアンナを抱きしめる。
「ゆ、許して……お願い……」
精一杯の気持ちを込めてカルロスに哀願した。
悲哀に満ちた町娘の顔……領主や貴族からすれば保護するか搾取するか極端なところ取るに足らない対象だ。
そんな一介の娘が媚びて泣きついても審問にかこつけた役人の心は痛まない。
白い頬に涙がいく筋も伝い落ちていて、木板の床に顔を打った時の埃汚れが涙の通り道だけ落ちていた。
なんと美しい女だろうか?

不意に両手を縛っていたロープを解くとカルロスは笑った。
マリアンナはこの男が自分を許してくれるのかと一瞬だけ期待したが……
「ふふふ、この服は邪魔だな……」
低いカルロスの声が頭上から聞こえたと思うと、彼女の胸の膨らみを触っていた大きな手が不意に服の襟に掛かった。
「えっ?」
マリアンナの表情が驚きと絶望に固まる。
この男は服を奪いやすくするために拘束を解いたに過ぎなかったのだ。
「いやっ! やめてください。こんな大勢の前で……嘘っ……やめて……」
察したマリアンナが必死に叫ぶのと同時だった。
よく洗濯して手入れされた真っ白なワンピースは真ん中から大きく引き裂かれ眩しい裸体を晒すことになってしまった。
バリバリと生地の裂ける音が耳に響き、マリアンナの前に立っていた男たちは歓声をあげる。
広場の周りでもギャラリーが身を乗り出していた。
スカートとブラウスが一体になったワンピースの裂け目から溢れ出た白い裸体は沈みかけの陽光を弾き、眩しく輝いていた。
日焼けもなく白絹のようなよく透けた肌だった。
マリアンナの身を包んでいたワンピースはさらにいろいろな角度にカルロスが引き裂いた。
一度でもほころびができた布地は簡単に床にパラパラと破片になって落ちていた。
下半身を覆い隠す薄い下履きだけの裸体が、この場にいる全ての人に晒されている。
外気に肌を晒す寒さよりも裸体を衆目に晒す惨めさと恥ずかしさで頭の中が真っ白になっていく。

「へへへ、お客様たちにもよく見せてやれ。魔女かどうかの審判を下すためにな」

カルロスの言葉に部下の役人たちはニヤニヤと笑いながら、呆然としているマリアンナの身体を起こして広場の人々によく見えるように立たせた。
広場に集まる群衆の様々な顔が見えた。
マリアンナは無理やり立たされたことで絶望と放心から覚めていく。
真っ白な視界が、広場に集まった男たちに塗り変わっていくとようやく眩しい裸体を群衆に晒していることが実感できた。
「ああっ……」
下着だけの身体に刺さる衆目……
広場に女性の姿はほとんどなくただ血に飢えた男だけしかいなかった。
その男の目はまるで遠慮がなくて、役人に身体を触られる恥辱がまだ序章に過ぎなかったことをハッキリと彼女に理解させた。

「いやあぁぁぁっ! 見ないでぇええええええぇぇえっ!」

マリアンナの絶叫に重なるように群衆の数人が嬉しそうに拍手までしている有様。
下履き一枚にされたマリアンナは少しでも身体を隠そうともがいたが、彼女を取り押さえている男たちはそうはさせてくれなかった。
バタバタと手足を振る彼女の抵抗に、役人の一人が苛立った顔で平手打ちを見舞う。

バチーン!

戦に出る機会に恵まれない辺境の役人兵士といえど最低限度の剣術の鍛錬をしている。
王のために使う暴力が容赦なくマリアンナを打ち据えた。

バチーン!

「ひぎぃぃいい!」

「もう一発殴ってやろうか?」
暴力を行使した役人は下品に笑い、赤く頬を腫れさせた彼女の顔をのぞき込む。
「きゃあっ! もう許してクダサイ……お願いします……痛くてっ……」
平手打ちの勢いでバタンと地面に転がったマリアンナにその役人は乗りかかるとさらに平手を振り下ろす。
「観念しろ! 魔女!」
頬を張られ、マリアンナは涙をこぼして暴れるのをやめた。
最初からそうしていればよかったと気づいたときには数発の平手打ちで頬が膨らんでいて、血の味が口の中で広がった。
「ひひひ、やっと観念したか……」
乗りかかっていた役人は満足そうに彼女の身体から離れた。
もともとそういう気質なのだろうか、カルロスはマリアンナの痛々しい顔に一瞥をくれると
「まったく、キレイな顔してるのに台無しにしやがって。まぁ、これでお前もいい加減、魔女としての自覚はしたか?」
安堵したように荒くなった呼吸を整えながら、マリアンナは空を見上げた。
「ぐすっ、ズズっ……うぅぅ……ひどい……こんなに殴らなくてもっ……あたし……っ……痛いよぅ……パパっ……ママぁ……ぐすん」

   ***

マリアンナはつい一時間前。父と母の営むパン屋でいつものように働いていた。
田園の町だけに麦は豊富に実り、マリアンナのお店のパンは味の評判も良かった。
だが、人気の理由はマリアンナの愛らしい顔と愛嬌だろうことは町の男たちのみんなも同意見だろう。
それだけに何度か愛の告白をしてきた情熱的な客の姿もあり、奥手なマリアンナはその全てを断ってきた。
父親も「マリアンナが嫁に行かないから安心だよ」などと大笑いをしていたぐらいだ。
しばらくして、愛の告白をしてきた青年が役人を連れてドアを開けた。

「この女……魔女ですよ! さっき、黒魔術をかけられて……もしかしたら、こいつはインキュバースとかの魔物かも!」

逆恨みというべきか、愛の言葉をささやいた男は全く逆の憎しみをたぎらせて役人にマリアンナを指さして告げていた。
「そんな!」
「あの……うちの娘は魔女なんかではありません。どうか、このパンを差し上げますので……」
父親がうまくはぐらかそうとしたのだが役人の男たちの視線はマリアンナの美貌にくぎ付けだった。

魔女狩りの担当をしているカルロスはすぐさま手縄をマリアンナにかけ、この広場まで連行してきたのだ。
愛の告白をした青年はギラギラとした目でマリアンナの視線をかわして「犯されろ」とぼつりとつぶやいた。
マリアンナを助けようと父親と母親は抵抗したようだがその後どうなったのか分からない。

   ***

群衆の中に数人の見知った顔……パンを買いに来る客だけでなく、マリアンナに告白したこともある顔ぶれがそろっていた。
「嘘っ……さ、最初からこのつもりで……」
あの密告者の青年は最前列で「ざまあみろ」とはやし立てていた。
それを見て裸体にされた恥ずかしさと屈辱に苛まれ涙がこぼれ落ちた。
「あたしがなにをしたというの? こんなのっ……こんなのあんまりだわ!」
その白い頬を濡らす涙がやめてと訴えているのに、男たちはそれにサディズムを燻られるだけで事態は好転しない。
むしろマリアンナの防衛能力である悲痛の涙は逆に欲情を煽る糧となってしまったのだ。

皮肉な結果だ。

その美しく整った身体のラインと大人の女らしいふくよかな起伏が視界に入り、男たちは股間の一物を扱いたり息を荒くして身を乗り出した。
その変態的な様子はまだ男の生理を知らない純真無垢なマリアンナの涙で霞む視界に焼きついていく。
「ひどい……こんなのあんまりです……みんないい人だと……思ってたのに……」
不幸を噛みしめている彼女にさっき殴りつけた気性の荒い役人がその顔を覗き込む。
「本当に大人しくなったぜ。へへッ、血は赤いんだな……」
マリアンナの唇の端から滴る血の筋を見つけて笑いながら舌で舐め取った。
「きゃッ!」
そのついでとばかりに形の良い唇を乱暴に奪う。
(うへへ……カルロス隊長より先にこれぐらいは初物をもらわないとな……)
男は歌姫モニカにかなりの金をつぎ込んだ熱狂ファンだった。
だがモニカの処女をカルロスが当たり前のようにかっさらいさらにファーストキスもアナルもすべて奪われたことを根に持っていた。
「んぐっ……むぐっ……ぶちゅっ……んんォォオ……」
とどのつまり、ファーストキスを奪ったのは太めで髭面のブサイクな中年の役人だった。
暴力だけが自慢のブサイクな男……それだけに同僚は一様に顔をゆがめた。
「むぐっ……ンンンンンンンン……汚いっ、唾液っ……んぶ、ちゅぷ……ンンンン!」
その男が唇を放すとマリアンナははぁはぁと荒く吐息を漏らした。
突然の抜け駆けに、隊長のカルロスは苦笑しながらも生の胸に手袋をとった武骨な手を大きく広げて伸ばした。
胸の弾力に満ちた膨らみが再び、しかも今度は直にカルロスの手にすくいとられる。
「あっ!」
双丘の頂点のピンクの蕾を粘っこい舌が嘗める。
「いやっ! やめて!」
ぬめぬめとした舌の感触に顔をしかめる。
だが、当のカルロスはむしろ嬉しそうな顔をして舌で乳首を転がすように弄ぶ。
そうしている間にもマリアンナの乳首が勃起しはじめてきた。
ピンと張りつめたピンクの蕾をあざとく見つめるカルロスたち。
「これはどういうことなんだ? 魔女!」
勝ち誇った顔でカルロスは、勃起した乳首を指で弾いて冷やかした。
「いやっ……」
「気持ちいいんだろ?」
カルロスは微弱な力でマリアンナの乳房を揉むと、彼女は首を横に振った。
「気持ち悪いだけです……ヤメテくださいっ……もういい加減に!」
「フン、ならば、これはなんだ?」
勃起した乳首を口に含んで、カルロスは容赦なく歯を立てた。
「きゃあっ! 痛いぃいっ!」
「気持ちいいからこんなに勃ってるんじゃないのか?」
尋問する役人の口調そのもので問いかけながら乳首を噛む。
歯型が残るような激しい噛み方はさっきの平手打ちと体感的に大差ない暴行だ。
その様子を大勢の群衆が羨ましそうに見つめ、自慰行為を我慢できない最前列の数人が「うっ」とそれぞれ呻いて石畳の地面に精液をこぼして果てていた。
「ひい……許してぇ……っ……っうぅぅう……」
「認めろ!」
「違うのぉっ……違うぅ!」
乳首を鋭い歯で噛み付かれる痛みに、マリアンナが泣きながらわめく。

   ***

「いいだろう。では、お前が魔女ではないと証明してくれ!」
カルロスは不意にマジメな顔をするとマリアンナの乳房から顔を離した。
ピンクの突起は歯形をつけられて、かすかに血が滲んでいた。
「あの……何をすれば?」
マリアンナは訝しげな表情で尋ねる。
「このチンポを口にくわえて嘗めるんだ」
「えっ?」
魔女の嫌疑を晴らすための提案はあまりに突飛で……マリアンナはただ呆けた顔をする。
周りのギャラリーの鼻息が荒くなったのを、カルロスは悟って苦笑する。
「フェラチオして、己の人間らしさをアピールしろ!」
「フェラ……チオ? 知りませんっ……」
年頃の娘とはいえマリアンナは本当に男と恋愛するなど想像もしていなかった。
パン屋で日々お客さんの笑顔が見られて生活していけばそのうち恋する相手もできるだろうと……
「魔女の疑いがかかったままだと……そうだなぁ……お前の父親と母親も魔女ということになるか?」
意味の分からない屁理屈だったが、役人という立場がこの場のルールブックだった。
「隊長……でもそれは……」
「バカ黙っとけ。マリアンナちゃんにバレたら自主的にフェラチオしてもらえないぞ」
「あ、ああ……」
周りで控えていた役人たちまでおろおろとしつつもカルロスに追随して頷く。
「そうだ、そうだ! 魔女の疑いは自分の口で晴らせ!」
「俺たちのも頼むぜ」
役人たちの野次にマリアンナは怯えたように首を横に振った。
「いやっ! そ……そんなことできません!」
「やれ!」
今度は逃れようのないように低い声で命じるカルロス。
「魔女の家のパン屋ぐらい……領主に委任状をもらった審問官の一声で潰せるんだぞ」
突然、マリアンナの顔に突きつけられたのはズボンから取り出したペニスだった。
それは屹立して赤黒い滾りを迸らせていてすでに腹まで反り返っていた。
「いやっ……やだぁ……」
マリアンナは顔を背けて、目を閉じた。

あ、あれが男の人のモノなの?
なんて気持ち悪い……

カルロスの手がマリアンナの顔を正面に向かせると乱暴に頬を叩いた。もうこの程度の暴力にためらいはないらしい。
「うっ……うぐ! ひぎっ!」
「ほらっ」
カルロスは無理やりにマリアンナの小さな口に巨大な肉棒を押し込む。
噛まれでもすれば大惨事になる……カルロスは「父親と母親を死なせたくないだろう?」と服従を強要した。
「んぐっ」
「いいか、歯を立てたら即刻、魔女として両親も一緒に逮捕・処刑だからな」
カルロスの怒鳴り声が頭の上から降って来る。
慌てたように彼女は口を大きく開けて、陰茎を噛まないようにした。
「むぐぅ……んぶぅぅう! んゥゥウウウぅぅ!」
だが、陰茎の圧迫感はとても我慢できない。
酸欠のためにマリアンナの表情は青ざめていた。
その脅えた瞳に肉棒の根元と金の陰毛が映っていた。
そう、彼女の口には野太い剛直が没入していたのだ。
その陰茎の悪臭が彼女の鼻に漂っていた。
「ほら、どうした? 舌を使え」

えっ? こ、こんな汚いものが口に入ってるだけでもイヤなのに……
舐めろっていうの!?

驚きに目を丸くするマリアンナ……
マジメにパン屋で日々働く彼女には当然男性器の知識すらなく、ましてや性行為など知るよしもなかった。
そんな彼女にとってカルロスの要求はあまりに理解の限度を越えていた。
「舐めないのなら、処刑だな。当然、家族も同罪として死刑だぞ」

「んごぉぉ! んご、んぶぅぅうゥゥウぅう!」

(それだけはやめてください!)

マリアンナは役人の隊長カルロスの顔を必死に見つめて哀願する。
心の声だが彼女の必死に訴える目がすべて語っている……
「分かっている。ならば、大人しく舐めるんだ。魔女の疑惑については見逃さないでもない……」
「んぶっ、ありがほぅごじゃいまふっ、うぷっ、んんんん……」
カルロスの言葉に、マリアンナはおずおずとその陰茎を舌で押すように動かして舐める。
先端に滲む液体の苦味が広がり鼻腔をイカ臭いニオイが突き刺してくる。
激しく反り返った大きな男性器の形を思い出して吐きそうになるが、万が一でも噛んでしまえば家族が殺される。

「んぶぅ……ちゅぷ……ちゅるるるるるル……んぷ!」
生理的な嫌悪感に顔を歪めるマリアンナを見つめてカルロスは征服者の喜びに笑った。
稚拙な技巧の押し返す程度の舌の動きでもマリアンナの初々しい恥じらいの様が興奮へと繋がる。
女の初めての体験を奪い取る快楽にカルロスは満足していた。
歌姫のモニカの悲鳴は酒場でリュートの伴奏を傍らにバラードを歌い上げるよりも美しい声だった。
マリアンナの絶望に満ちた顔、そしてたまにげほげほと咳き込むが歯を立てまいと必死の形相。
すべてが陰茎の快楽につながってしまう。

「いいぞ。もっと唇も使って扱くんだ」
「ふぁい……んぶっ、んんん……」
マリアンナは涙を流しながらその陰茎を必死に舐めた。
パンを焼かせれば町一番の父親と、暖かい笑顔を絶やさない母親。
一人娘として大切に育ててくれた両親の笑顔を脳裏に浮べ、 なんとしても魔女の嫌疑を晴らさなければならないと誓う。
かすかに勇気が湧いてきて、マリアンナは大胆に男のモノを舐め始める。
「ちゅぷっ、ンンんん……ちゅるる、れろっ……んっ、ちゅぷ……ぶふっ……ンンン!」
そう、いつの間にか自然に舐める動作をしていた。
慣れてきたというのもあるのだろう。
イカ臭さは我慢できるようになってきた。
カルロスが満足そうにしているのを上目遣いで確認し、彼女は無心になって奉仕する屈辱を味わっていた。
もうどうすればいいのか分からなかった。
ただ一つだけ言えるのは、この役人を満足させられなければ自分だけでなく両親にまで危害が及ぶということだ。

「そろそろフィニィッシュといくか」
低い声で呟くと、カルロスの両手ががっしりとマリアンナの頭を固定した。金髪のサラサラとした触り心地が心地よい。
「んっ!」
突然、カルロスは腰を使い、ガンガンと彼女の顔に股間をぶつけはじめた。
あまりに唐突な乱暴に、瞳の奥が熱くなる。
「んごぉおおっ!」

(やめてぇっ! 乱暴しないで! ちゃ、ちゃんと舐めますからぁっ!)

言葉に出せないが、マリアンナはとにかく男に目で哀願した。
悲しげに揺れる瞳をカルロスは見つめながら、興奮を高めていく……
マリアンナの口の中で太い肉塊は槍のように鋭く押し入り、やがてその重さと速さはどんどん加速度的に上がっていった。

そして、カルロスの肉棒は深くマリアンナの口を突くと、ドクドクと激しい勢いで白濁液をぶちまけた。
マリアンナの口の中でその液体は奔流し、鼻まで流れ込んだ。
「ぶふっ! んんんんん、けほっ、げほ……んぅぅぅぅ?」
マリアンナはその液体を吐こうとしたが、カルロスにピッタリと口を塞がれ泣きながらソレを飲み干す。
屈辱的な扱いだったが、これで魔女の疑いが晴れるのなら文句ない。頑張った自分を誇ろう。
そう決意すると口いっぱいに注がれた精液のドロリとした感触が喉を通り抜け……ほっとする。

ゴクゴク……

細い喉が苦しげに動くのを、観衆はニヤニヤと笑いながらも見守った。
しばらくして、やっとカルロスのモノは口から抜かれた。
「ゲホゲホ……」
マリアンナは咳き込みながら呻いた。
「ふふふふ、よくがんばったな。お前は魔女ではないと私は認めよう」
カルロスはズボンを穿きながら、厳かに告げた。

やっと終わったわ……
これでパパやママの所に帰れる……

粗末な木綿の下履きだけのみじめな姿で、屈辱の試練に耐えた自分を誉めていた。
やっと実感した安心に力が抜けて、しゃがみこむマリアンナ……ヘタリ込む姿すら美しいとみんな感じていた。

「次は俺たちの番だな……」
「カルロス隊長が認めても、俺たちは認めないぞ」
「その通り」

「えっ!?」
慌てて顔を上げるマリアンナの前に、下半身を裸にして待っている役人たち。
「そんな……私は魔女じゃないって……」
助けを求めるように隊長のカルロスを見つめると彼はニヤリと笑った。
「”私は認めよう”と言っただけだぞ。今の調子で全員を納得させるんだな」
「そんな!」
カルロスの言葉に金槌に殴られたようなショックを受けて、再び倒れこむマリアンナ。
その彼女を脇から二人が支えると、一人が陰茎を強引に口に押し込んだ。
「んごぉぉおっ!」

マリアンナは再び、口を犯す陵辱にさらされるのだった……

   ***

「おい、これはどういうコトなんだ?」
カルロスの言葉がまるで真剣のように鋭さをもって、マリアンナに降りかかった。
すでに夕日は西の空の彼方に沈んでいるが、この広場はかがり火が焚かれていて、オレンジ色の明かりが舞台の上の主役たちを照らしていた。
黒く移し落とされたマリアンナの影が噎せて何度も咳き込んでいる。
粘っこい精液の雫がぼたぼたと木の板の上に落ちていた。

「げほっげほっ!」

まだ咳き込んでいるマリアンナは返事が出来ずに、涙をためた瞳でカルロスを見上げた。
彼女の足元にかけてその愛らしい口が半開きになって精液が糸を引くように滴り落ちている。
役人の最後の一人のフェラチオで、飲み込めなくて噎せて吐き出してしまった精液だった。
「ひでえな……魔女の疑いをかけられないように隠蔽してたんだぜ」
役人の言葉に、意味が分からずに泣きながら首を横に振るマリアンナ。
「違うっ……けほけほけほっ……違いますっ……そんな……あたしっ……魔女なんかじゃ……」
「精液を一滴でもこぼしたら魔女だってコトだよ」
「もう一度……やりますから……チャンスをください。今度はきちんと飲み込みます……」
「魔女で確定であろう。そういうルールだしなぁ!」
勝手に作られる役人の男たちのルールに、町の人々も呆れた笑いを浮かべる。

どうせ、こんなコトだろうと思ったぜ。
いつも通り、輪姦しちゃうんだろうな……

役人に囲まれているマリアンナに、町の人々は同情と性的な興奮の二つを抱えて苦笑していた。
魔女の疑いを晴らすために役人たちを相手に陰茎に何度も口づけをし、屈辱に耐えるがんばりを見せられての同情。
だが、全身にびっしりと浮かび上がる汗と悲しみに満ちた瞳、下着だけに包まれた肉感的な少女の身体に欲情する気持ちも感じる。
町の男たちは複雑な気持ちで、役人の公開取調べを見守っていた。

審問官の紋章を掲げた役人は教会の派閥なのだろう……
威厳のある声でこう告げた。

「魔女として処刑する……裸になれ」

シーンと静まり返る広場の真ん中でマリアンナはフルフルと震えながら声を絞り出す。
「やだっ! どうして……こんなことで魔女か分からないですよね? なんで……こんな淫らな真似を……」
「何がいやなんだ? ザーメンは嬉しそうに飲んでくれなきゃ、魔女なんだよ。だから、お前には償いをする必要がある」
「償い?」
「ここにいる全ての人にマンコを下げ渡す。それで万事解決。後は、解放してやる」
「えっ?」
「公開レイプの刑だ」
カルロスが勝手に裁判し、審問官の役人も厳かに頷き返し判決を叩きだした。

マリアンナにはこの役人の言葉が理解できなかった。
町人の間ではため息のような歓声が上がる。その町人たちの目はギンギンと輝いていた。
危ない輝きだった。

「両親の死刑は免除してやるし、お前も死刑にはならないんだぞ。嬉しいだろ?」
判決に続くカルロスの恩着せがましい言葉にマリアンナは頷くことなどできなかった。
死刑免除……そんな言葉が無意味に聞こえる判決……

”公開レイプ ”

死ぬよりも辛い恥辱の刑罰に他ならなかった。
マリアンナは喉がカラカラに乾いているのを感じた。

「下着を脱いで、ここに屈め……」
カルロスの指先を目で追ってマリアンナは愕然とする。
他の役人によって、今運び込まれてきたのはギロチンだった。
公開処刑で使われる木製の斬頭台は、首を切り落とす刃が抜かれた状態で鎮座していた。
威圧感……禍々しさは刃がなくても変わることはない。
「早く脱がなければ、こいつに刃を入れる」
カルロスの言葉にマリアンナは観念したように、最後の下着を脱いだ。
一枚だけの頼りない布地だが汗ばんでじっとりとしていて、肌に未練がましく引っかかるがマリアンナは逆らう気力もなくなっていた。
このギロチンは男が魔女だと決められたときは最初から刃が入った状態で運ばれるものなのだ。
恐怖しながら一糸まとわぬ姿になるとうっすらと生える陰毛、白く張りのある丸いお尻……
未成熟な腰周りは、大人の女性の腰つきよりも頼りなくて余計にいやらしかった。
「そこに屈んでみろ」
満足そうにカルロスは上擦った声で命じるとマリアンナは大人しく斬首台に首を乗せて屈んだ。
「ひぃぃい?」
木製の斬首台の首の穴はザラザラとした粉があり、木目の艶を失ったその位置は血の色でくすんでいた。
ごく最近にもこの町で豪商をしていたアスラーンという男がここで処刑されたことを思い出して、マリアンナは震えが止まらない。
このギロチンで彼は殺されたのだろうか。その血が乾燥して首にこびりついている?
「ひぃ……グスン……許して……死にたくないっ……死にたくないですぅ……」
ちょうど四つんばいの格好だが羞恥心は吹き飛んだ。
抵抗しても無駄だという諦めが大きかったが、ギロチンは人の首を落とす目的の装置なのだ。
まるで、死人にでもなったような気分だった。
観衆の顔が今までよりも大きく見える。

自分のパン屋によく買い物に来る男性客の顔……
興奮してこちらを見る男……
普段は優しい顔なのに、今はランランと目を輝かせている友達だった男……

ああ、みんなが恐い……
斬首される人の気持ちってこんな感じなのかな……

後ろで役人がマリアンナの脚を勝手に広げた。
何人もの人の目に、性器が見られ、金色のけぶりが堪能される。
「ああっ……」
後ろの方で男の歓声が上がり、マリアンナは自分の性器を男たちが見ているのを感じた。
観客の熱さが目を閉じても飛び込んできそうだった。
斬首台の台座に固定されてる今の姿では、何が起きているのか、 振り向いて確認することもできなかった。

「よし……入れてやるぞぉ!」
後ろで声が聞こえてマリアンナは意味がわからないが、本能的な恐怖を感じていた。

カルロスはズボンを下ろすと、前戯もせずに乾いた膣口に陰茎を押し当てた。
「ひぃい? まさか?」
マリアンナは自分の秘所に押し当てられたモノを感じてビクリと全身を硬直させている。
「へへへ、こんなに乾いてたら痛いだろうな」
カルロスはむしろ楽しそうに言うと、マリアンナの腰を両手で押さえ込みながら入れた。

ブツン!

処女膜を裂いて、陰茎は深く潜行していく。

「ぎゃああああぁぁああアアアっ!」
マリアンナの絶叫があがった。

斬首される瞬間と処女を失う瞬間……まさに同じような空気に包まれていた。
痛々しい悲鳴とともにマリアンナの首を固定する台座がギシギシと鳴り響く。
刑の執行人であるカルロスは、キツく締め付けるマリアンナの膣口の快感に、興奮して容赦なく根元まで陰茎を捻じ込んでいく。
もはや、労わりなどない。

ズグゥゥウッ!

「いぎぃいっ!」
激痛にマリアンナが暴れて、逃れようとするが首を固定する台座のせいで腰をくねらせる程度の抵抗にしかならない。
その動きが暴れる陰茎を刺激し、またその哀れに抵抗する姿が観衆を欲情させてしまう。
「ははははは、生きがいい獲物だ!」
カルロスは刑の執行という大義名分を忘れて、陵辱者の顔つきで腰を揺すった。
フェラチオをさせたときの悪魔の顔つきで……カルロスはマリアンナの初めてを奪いつくす。
痛がるように意識的に筋肉のバネを生かしてギロチンに向けて……彼女の膣口を押し広げて楔を打ち込むように……

「ひぎゃアぁぁあァアアアぁあ! ぐぎゃっ、グギャぁああむぁぁああ!」

その動きに合わせて、マリアンナの身体が悲しげに揺れる。
「痛い、痛いぃいい、イタイッ!」
「はぁはぁ……こりゃあ、いいぜェっ!」
「やめてくださいぃ……これ以上、やられたら死んじゃうぅうっ!」
「知るか! 死んだら、それも天命だ」
興奮して口調まで変わったカルロス。
処女を犯す瞬間を至上の喜びと言い切る役人のリーダーの悪い癖に、部下も苦笑しながらその暴行を見守った。
次の出番は誰か……そんなことを相談しながら……

「ひぎっ、ぐぎゃ! ぐげェぇぇえ! うっ! ううう! うっ! ぁぁああァ!」
打ち付けられるたびに痛々しい悲鳴をこぼすマリアンナ。
白く透き通る裸体、とりわけふっくらと存在感のある乳房がギロチンに横板にぶつかりながら揺れていた。
「ふははは、いい締め付けだぞ。魔女!」
カルロスの腰の動きが早くなっていく。
「ううっ……もう許してぇ……」
「う、受け取れ!」
うめくように宣言すると、カルロスは膣口の奥深くで射精した。
マリアンナは意味が分からないままに、体内に広がる精液を受け入れる。
「ああっ……熱いぃ……」
性の知識がなまじないからマリアンナは膣内で暴れるように流れ込む精液になんにも感じなかった。
ただこの男は精液を出せば満足してくれたのだとフェラチオで役人のすべてを相手にして分からされていた。
そこにマリアンナの拒否の感情など毛頭ない。

「次は俺ですね」
役人の一人がカルロスのいた場所に近づくと、すでに勃起した陰茎をしごきながら覗き込んだ。
「ひひひひひ、処女膜が破れて血がいっぱい出てますぜ」
その役人はすぐに陰茎を押し込まずに、指を差し込んできた。
「あぐっ! 痛いぃッ!」
いきなり、無造作に傷ついた膣をかき回してくる指に、マリアンナはたまらずに 叫び声をあげた。
「ほれほれ」
「ひぎ、痛いぃぃいいいいいい、か、かっ、か……かき混ぜないで! いやああァァ!」
愉快そうに役人は笑いながら、マリアンナの中を引っ掻き回す。
すると、奥深くに放たれていたカルロスの精液が行き場を失ったように、プッと音を起ててこぼれた。
「カルロス隊長の精液だぞー」
見せ付けるようにして掬い取った粘液でぬらつく指をマリアンナの面前に差し出す。
「いやあっ! とても気持ち悪い……ですからっ……もう見せないで……」
「いつまでも遊んでいても仕方ないか。楽しませてもらうぜ」

「あっ、あの。お口でしますのでっ……それは許してくだ、ギャぁぁあァアぁぁあああああああああああ!」
サディスティックに笑うと、その役人はマリアンナに陰茎を突き入れた。
哀願の言葉は最後まで続かずに強制的に再開される膣穴への暴行。

「あぐうぅぅっ!」
マリアンナは二度目の挿入に喘いだ……
カルロスとまったく同じくマリアンナはギロチンに固定されたまま何度も揺さぶられて犯されていた。

「ううっ……はあはあ……出るぞぉおおッ!」
声高く宣言したのは、マリアンナを犯す最後の役人だった。
その場にいた六人の役人の精液を膣に受け入れたマリアンナは抵抗する力を失ったように斬首台にうなだれた。

「これでまず一周したな……」
カルロスはそう漏らすと、他の役人もやけにマジメな顔を作って頷いた。
「よし、これからは町の人全員に刑を執行してもらう」
宣言すると、ギャラリーになっていた町の男たちが我先にと広場の中央に押しかけてきた。
今まで行われてきた陵辱を、ただ見せ付けられていただけの民衆の欲情が重い圧力になって押し寄せる。

「ひぃぃいっ、う、う……嘘っ……町の人全員っ……なんて? いっイヤぁぁああああああァァアアアぁああああああ!」

血気にはやる者が、押し寄せる観客の輪を出し抜いて勢いよく飛び出すと、ギロチンにうなだれたマリアンナに後ろから乗り掛かった。
「きゃあああっ!」
勢いよく押し付けられてギロチンの木製のパネルは今にも壊れそうに軋んだ。
「いやっ!」
そして、当然彼女の悲鳴は獣と化した男たちには通じなかった。
荒い息がいくつも迫り、全裸のマリアンナの身体は分厚い手が触れ……さらに舌が嘗める玩具となった。

「いやぁぁぁあっ!やめてぇぇぇっ!」

目つきの鋭い男が真先にズボンを下ろして勃起した陰茎を取り出すとギロチンの後ろから膣口に強引に捻じ込んでいく。
「いやぁぁぁっ!」
異物は深く彼女を差し貫いた。
そして、彼が腰を繰り出すたびに激痛が走った。
無理やり数人の陰茎を受け入れた後だけに傷口同然になっている膣は焼け付くような痛みを感じる。
「痛い! 動かさないで!」
「だまれ! 償いだろ? お詫びはどうした?」
男は言って激しく腰を動かした。快楽に任せた激しいリズムだ。
「ひぎっ、うぎっ……痛いぃいいい、うっ! うう! イヤぁぁああァアぁあ!」
その腰の動きに合わせて彼女の形の良い胸も揺れて、それが何人もの男の手にすくい取られる。
最初の町の男はマリアンナに興奮して自慰でもしていたのだろう。
想定外に早く果ててしまい満足げに舞台の床にもたれるように崩れる。
「どけ。次は俺の番だぜ」
「きゃ!」
待機列という秩序はなく争うように力強い男の一人が彼女のお尻に不意に一物を突きたてた。
「痛い! 後ろからはやめて! え……そこって……ま、まっ、まさか。お……おぉぉ、お、お尻……の穴……ですよ?」
「ここは初めてだろう。ひーっひひひひ。炭鉱夫の仕事で疲れてるんだ。カミさんもすぐにバテるしよ……しっかり相手してくれよ」
マリアンナの悲痛の声に興奮を煽られ、その男は彼女のお尻に深く肉棒を突き込んだ。
ズルズルと直腸が裏返るように引っ張られ、ズンとした痛みが広がる。
「あぅッ!」
「おらおら、どうした? メス豚!」
二人の男にサンドイッチにされ、正面と背後から同じ間隔で衝撃を加えられ少女の裸体が広場の地面で激しく波うった。

「イッてやるから、しっかりと受け止めろ」
正面の男は言うなり呻いた。
「きゃあっ!」
男の激しい息づかいと突きが放たれ、少女の膣へと大量の精液が注がれる。
「あっ……ああああっ!」
少女は力なくうなだれた。
しかし、それさえも許さないかのように背後で男の蹂躪がより加速していく。
「もう、やめて!」
マリアンナの裸体は新たな男の攻撃に晒されるのだった。

「俺は口でしてもらおうか? マリアンナさん」
苦痛にうめきながらマリアンナが顔を上げると、パン屋の常連の男が立っていた。
「あっ!」
男の顔は今までに見たこともないほどにイヤらしい表情をしていた。
買い物客として来ていた時からは想像もできない変貌だった。
マリアンナはそんな人間の二面性を目の当たりにして、恐くなって首を振る。
「魔女のくせに、生意気だ。大人しく口でしろ!」
理不尽な怒りに全身を震わせた男は怒鳴りつけると、マリアンナの口に陰茎を押し込む。

   ***

パン屋の娘、マリアンナはこうして何日も陵辱された。
そういえばパン屋の中には夫婦の惨殺死体がしばらく放置されていて見かねた隣人が埋葬をしたという。
町で美しいマリアンナの姿を見た者はいない……
ただギロチンにつながれて両親が役人に抵抗したあの日に殺されていることも知らずに、ただ強制的に食事を与えられて犯されていた。
毎日通うものもいたし、カルロスもその意味では巡回で通るたびにマリアンナを犯していく。

「アぁぁん……アンっ……あん……あたしは……魔女れすぅぅ……んほぉぉ、気持ちくしてくらさいっ……んおおお!」

濁った理性を失っているマリアンナは媚びた目で男の陰茎を舐めすすり、膣口で性欲を受け止めるのだ。
終わりのない公開処刑だが、収穫祭の季節までは続くと聞く。
その後のマリアンナの処遇は王都に護送されて花街にでも売られるのだろう……